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映画はナマモノ

2014 年 3 月 29 日

(思うところあって書いてますが余り深く考えてません)

映画はナマモノ

映画って、公開されたときに観ないと、意味がないと思っている。
旬を逃したら、というか、映画館で観ないと、価値がないんだとおもう。

数年後にテレビで一斉配信する頃にはすでに賞味期限が切れてる。
それも、イマドキだとDVD/Blu-rayの発売時期に合わせて、その情報を伝えるためだけに
テレビという媒体で露出してるだけ。

地方出身者なのもあるかもしれないが、
私の地元には映画館はあったのかどうかすらわからない。
小学校の頃に通学路でチケットだか割引券だかを配ってたこともあった気がするが、
それがどこにあるのかすら分からなかったし、そもそも興味もなかった。

都市部以外で言えばそんな状況の中、テレビで配信されるだけマシではあるが、それだってごく一部。

そんな中で上京して、映画館で最初に観たのは、草の根BBSのオフ会で行った「エヴァンゲリオン」の1作目。
小学校の映画鑑賞の時間とは違って、音も映像も格段に違う。
これは圧倒的だった。とはいえどこの館で見たのか思い出せない。確か銀座だったきがするけど。

以降、一応社会人になって一人暮らしをして、仕事をしていく中で、
運よく会社でも映画やアニメ全般に興味がある人と知り合い、休みの日に一緒に映画に行くようになった。
その頃はまだ歌舞伎町の映画館で深夜の先行上映とかもあって、
そのまま呑みに行く or 呑んでから行く パターンだったが。

その後いろいろなことがあって(笑)
自分ひとりで映画館へ入るように(入れるように)なって。
その頃には「楽しむためにお金を使う」ことを覚えたのだとおもう。

これは、「お金の使い方」に対する考え方だと思うけど、
「映画館で映画を観る」ために払う対価¥1800円は、何に対して払っているのかを考えたとき。

私はその「映像」「音響」それらをひっくるめた「時間」と「空間」に¥1800円の価値があると思って払っている。
だからこそ、スタッフロールも終わらないうちに照明をつけるような映画館は許せないし、二度と行きたくないと思う。

エンターテインメント産業って、「個人の余暇時間」という「市場」を非常に多くの競合プレーヤーで奪い合っている。
その中でもうまく行ってるのは、出版(読書)と折り合いをつけている産業だ(だった)。
たとえば、映画業界は雑誌を媒体に広告するし、出版側もそれを受け入れる。単純だけどみごとな共存関係。
アニメも家庭用ゲームもそう。
うまく行かなかったのはボーリング。あれは完全に滅んだ。
あと今はゲームセンターやアーケードゲームをフィーチャーする出版物はほとんどない。これも滅びかけてる。

ただ、時代が変わってその依存度がインターネットへシフトしている。
出版の進化が印刷技術とデリバリーという末端の物理層だけで、そこまでの作業は未だに自動化されないし、
そこまでの手順もなんら進化しないから、インターネットのスピードに勝てない。

ナマモノを扱うにはふさわしくなくなりつつある。
映画業界側だって、インターネットにページを立てた方が、出版へ出すよりも手数は少なく済むし
なにより即効性が違う。

我々は、そういう市場のプレーヤーの中から、「余暇時間を何に使うか」「何にお金を払うか」を決めて、選択している。
「時間をお金で買う」とは、なにもタクシーを捕まえることだけではない。

映画館が提供するのは「その瞬間」でしかない。
ナマモノである以上、賞味期限がくれば売り場からは撤去される。
あとから一斉配信されたとしても、価値はないのだ。

まあ、だからテレビで無料配信なんだろうと。

楽しい時間がプライスレスでもいいけど。
生まれた年に公開された映画はよっぽど運が良くない限り映画館で再演されることはない。
それは運だし、それが未だに繰り返し一斉配信されるほど人気のある作品なら尚のこと。

映画はナマモノだと思うし
映画館で観たいと思う。

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